清水中学校は劇的に変わった!!ホームに戻る

 「高知県土佐清水市立清水中学校が大変なことになっています。どうぞお力をお貸し下さい。」という依頼を受けて始まった人間関係プログラムのコーディネーション。2014年1月28日、初めてのコーディネーションに向かいました。高知市から車で2時間半、ブランド鯖「清水鯖」、ジョン万次郎出生の地、四国最南端足摺岬を有する素朴な漁業と観光のまちです。

 高知県西部の幡多(はた)地区〔四万十市、宿毛市、土佐清水市、黒潮町、四万十町、大月町〕は、わたくしが7年前、教員をしていたときからご縁がある地区です。現在(2016年)、清水中学校の岡崎哲也校長先生が、黒潮町立大方中学校で校長先生をしておられたときから、何校も研修やコーディネーションの機会をいただき、人間関係プログラムの普及に力を注いでいた地域だったのです。

 清水中学校は、津波対策による高台移転に伴い市内5中学校が統合され、土佐清水市中心部の高台に新築して2013年4月に新しい清水中学校としてスタートしたのでした。しかし・・・

 初めて清水中学校におじゃまをしたとき、目の前で起きていた光景に、わたくしは唖然としてしまいました。授業時間にもかかわらず、廊下には何人もの子どもが・・・その子どもたちをどうにかしようと奮闘している大人たち・・、まさに清水中学校は「荒れ」のまっただなかにあったのでした。

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土佐清水市立清水中学校 校長 岡ア 哲也

あんなに荒れていた学校が・・・

 平成264月の異動が発表され、326日に清水中学校へ引き継ぎも兼ねて挨拶にきました。清水中学校教頭時代、新校舎の建築設計にも若干関わらせて頂いていましたが、統合した新校舎に入るのは初めてでした。県産木材を沢山使いトイレにはウォシュレット付きの洋式トイレもあり、立派で施設設備も充実した学校です。教諭時代16年間、教頭時代5年間と長い間勤務していたこともあり保護者には多くの教え子たちがいますし地域の方も沢山知っていますので、統合1年目の様子や学校に対する不信感は色々と聞いていましたので、ある程度想像はしていましたが、案内してもらうと破損箇所が沢山あり、こんな所までと驚いたことでした。想像を超えるものでした。

4月、4年ぶりに清水中学校に赴任し、生徒たちと初めて接したとき、生徒たちも教師に対する強い不信感を持っているなと感じました。各部活動で頑張っているだろう生徒たちが入学式の準備するのを見て、以前の落ち着いていた清水中学校から激変していたことに驚きは隠せませんでした。教師の指示に従わない。備品を乱暴に扱う。仲間に対して嫌がらせや暴力的な行為を平気でしている。沢山の生徒が一緒に活動している中では多くの課題が見えるものですが、荒れは本当に深刻なのだろうなと感じました。当然、着任したばかりの私の指示など聞くはずがありません。教師に対して耳を貸そうともせず好き勝手にする様子は、在校生全員が集まった始業式の時さらに見られ、これは大変だと思ったのを覚えています。

 48日から学校教育活動がスタートすると、荒れの全貌が明らかになってきました。授業が始まっても教室には入らずローカを徘徊している生徒、教室後ろにあるロッカールームでたむろしている生徒、教室に座っているが私語や授業とは関係のない事をしている生徒、器物破損、非常警報ベルの作動、観葉植物へのいたずら、いじめ・いやがらせなど想像するより深刻な状況でした。生徒の自尊感情の低さも大変気になりました。

まずは信頼関係を取り戻すことから始めなければと考え取り組んでいきました。信頼関係を取り戻すためには「個々の成長を促す仕組み」を取り入れることであると考え、まずは教員の資質・指導力の向上の為の教員のスキルトレーニングと理解に関する研修を行いました。教員が主体性を発揮し様々な活動の中で個々の成長を適切に支援する取り組みを進めることで信頼関係も構築でき荒れは克服できるとも考えました。当初の研修では、「主体性」と「子どもの成長を支援する」をメインに研修を行いました。その中で教師も自分自身を振り返り、気づきの多い研修となっていったように思います。「人間関係プログラム」の重要性も教員自らの気づきで計画的な実施につながったと考えています。平成26年度は、深美先生に授業コーディネーションをして頂いた内容を実践していくようにしていましたので、「教えてもらったらやってみよう。」ということで取り組みを進めました。

 生徒たちの反応も良く、「ジョン万タイム(人間関係プログラムの授業)は楽しい。」や「あまり話さなかった人とも話せ、その人のことが分かった。」などの声も聞かれました。少しずつではありますが他者理解にもつながってきたように思います。このようにプログラムを実施してきました。人間関係づくりの授業の中で、教員の心にも変化が見られたのではないかと思います。生徒のつぶやきに気づくことや気づきを引き起こすこと、ちょっとした行動や行為を注視しながら進めることで、生徒たちは解ってもらえ評価してもらえると感じ、成長のスパイラル「認知・行動・評価」を教師との関係性の中にも見出せたと思います。生徒との信頼関係の構築にも大いに役立ったと考えます。人間関係プログラムの実施が、教員の資質・指導力を向上させることは明らかであると考えています。

生徒たちは、ジョン万タイムでの友だちとの関わりを楽しめていたように思います。回数を重ねるたびに穏やかな雰囲気の中でプログラムを楽しみ、関わり合うことを楽しんで仲間の考えも聴けるようになってきたと感じています。自分の考えも表現でき、仲間の考えを聴けるようになると当然小グループでの人間関係は良くなってきます。そんな経験の積み重ねになったジョン万タイムであったと考えています。当初は攻撃性の強かった生徒もルールの中で活動ができるようになりプログラムを受け入れ参加できるようにもなってきました。個々の生徒も人間関係をより良くしようとするようにもなり成長も感じています。

今、学校統合による荒れは全く感じられないくらい穏やかな空気が本校を包んでいます。職員の弛まぬ努力があり、頑張れて優しい子どもたちが多くなってきています。

2年間指導してくださった深美先生には心から感謝しております。

2016年3月1日

               詳細資料(pdf318kb)
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 このようにして、土佐清水市立清水中学校は、2年前の姿からは想像できない落ち着いた学校になりました。校内の中庭にある来客者用の駐車場からは、すべての教室とベランダを見渡すことができます。1年半前は、この中庭から校舎を見渡すと、授業にもかかわらず何人もの子どもたちがベランダから顔を出し、大きな声を出していたり、トイレットペーパーが紙テープのように投じられていたりしていました。しかし、本年度(2015年度)の春、5回目のコーディネーションに訪れたときには、そういう姿はまったく陰を潜めていたのです。「あの厳しい状態だった1年生はどうなったんだろう。」と校舎内の廊下を歩いていると、何人もの子どもたちがわたくしの目を見て「こんにちは」と挨拶をしてくれます。2年前、1年半前は子どもたちの目をあわせようとしても、ことごとく避けられていたあの時の子どもたちの姿はありません。「これが成長なのか・・」と改めて実感しました。わずか1年間で、この状態を取り戻した清水中学校の先生方や子どもたちの頑張りに敬意を表したいと思います。
 ちなみに、2015年度は、保護者向けセミナー「ジョン万タイム体験会」を3回開くことができました。保護者の方々へのアプローチも平行して進んでいるのです。

 ランチでいただいた「あしずり食堂」の清水鯖がいちだんと美味しく感じました。

          あいあいネットワークofHRS 深美隆司

書籍紹介

「いじめ・不登校を防止する
      
    人間関係プログラム」


 
〜アクティブラーニングで学校が劇的に変わる!〜

      
松江市立第一中学校「こころほっとタイム」研究会
          あいあいネットワークofHRS 深美隆司         編
              (B5版144ページ)2000円+税 学事出版 2016.2発刊


   2011年から5年間の授業コーディネーションの集大成

  
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