中学校3学年第7時「ロールプレイングで面接練習」 進路選択 (一太郎Version)

 この授業のみ松原第七中学校での実践になります。松江第一中学校では取り組むことができませんでしたが、プログラム上のつながりと完結性という意味で、わたくしが挿入しました。三年生終盤のプログラムは、それまで積み上げてきた力を生かしていくという実生活へのクロス性を発揮できるものが好ましいと感じるからです。プログラムの中では、ロールプレイングを機会あるごとに取り入れてきたわけですが、進路選択に向けての面接練習をロールプレイングを使ったワークショップとしてできないだろうかということで、この授業がつくられました。従来のの面接練習であれば、教員が模範を示し、子どもたちがそれを見習ってやってみるという形で行われるのが普通です。しかし、ワークショップでは、子どもたちの気づきを積み上げていく手法をとっていきますので、授業では教員が「非模範的な例」のみを示します。実際「悪い例」を示すと、子どもたちは意外と厳しい指摘をしてくるのです。「自分の姿を棚に上げて・・・」という気にもなるかもしれませんが、実際、他者の悪いところはよく気がつきます。これは、大人でも同じかもしれないですね。結構ノリノリになって指摘をしてくれますので、子どもたちの気づきを充分に拾いあげ、その上に教員が「〜であってほしい」と感じている点を上乗せします。そして、再度、「チャレンジ」ということで教員が演じることで、子どもたちが感じてつくりあげたモデルというものをつくりあげることができます。教員がやいのやいのと口酸っぱく説教するのではなく、子どもたちが感じる理想型を提示することができれば、子どもたちはより主体的に取り組めますし、子どもどうしの相乗効果も期待できるのです。子どもたちの力を前面に引き出していく、これがワークショップ型の授業であるといえます。
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【ダウンロードできるもの】

支援プラン、 掲示物、 ふりかえり用紙、 
1.ワークシート

【ねらい】 進路選択
 進路選択の学習において、面接練習が重要であることは言うまでもない。面接を疑似体験することにより、子どもたちは自信をもつ。一般的な面接練習は、面接によく出る質問に対する答えを準備し、教員が子どもの姿勢・態度・回答内容等における不十分点を指摘し修正するというものであろう。今回は、それ以前の準備段階として、ワークショップとして面接を経験することにより、子どもたちが面接に向かう力を内から育てていこうというものである。


【概要】
 教員による「好ましくない面接例」のモデリングから始まる。面接官役、子ども役ともに教員が担う。子どもたちは、教員の「感じの悪い」ところを指摘していくが、これが結構盛り上がる。他者のよくない部分というものにはよく気づくものである。子どもたちからの指摘を受け、子ども役の教員は面接に再チャレンジする。その際、子どもたちからの指摘された点に加えて、それぞれの学校で指導している部分を盛り込んだ模範例を示す。子どもたちは、自分たちがやってみる段階で、自らが指摘して完成した模範例を実践しようという気持ちになる。

【ポイント】
 教員としては、面接練習というとどうしても「指導」をしたくなるところである。この時間は、面接指導の前段階としてとらえ、子どもの側からの自覚や気づきを喚起することで、子どもの内面からの規範意識をビルドアップしていこうというものである。教員の側から教え込もうとするのではなく、教員が考える模範例というものに子どもたちが近づき、さらに新たな気づきも期待できる時間としてとらえたい。


【子どもの気づき】
・川口先生の一回目の態度は自分と似てるところがあったので、少し反省した。
・実際に面接をするときは、すごく緊張するだろうなと思った。
・ちゃんと面接ではしないといけないので、言葉遣いとか今から改めよう。
・あと何ヶ月かしたら自分も同じことをするんだと思ったら緊張したけど、勉強にもなった。
・まだまだ時間があると思ってたけど、今日、面接のこと勉強していよいよだなと思った。


【教員からのコメント】
・面接練習といえば、これまでは子どもたちが原稿を考えて、管理職の先生や、生徒指導、進路指導の先生が面接官になり、緊張感の中で行ってきました。そして、「ちゃんとできない子」は再面接というような感じです。今日のような面接練習があるなんて少々驚きでした。進路選択の学習において、これほど盛り上がるとは・・。普段、ちゃんとできていないような子でも、「あの態度はおかしい。」とか、「あの答え方はないよね。」とか、こちらからそのまま返してあげたいようなことを言うのです。へぇー!他人の行動を見れば、結構気づきがおこるものですね。