【ダウンロードできるもの】

支援プラン、 掲示物、 ふりかえり用紙、 
1.台本「宿題見せて!」ノーマルバージョン
2.台本「宿題見せて!」神様バージョン
3.台本「宿題見せて!」いろいろバージョン
4.台本「気弱王子」
5.アサーション(DESC法)ワークシート
6.台本ワークシート


【ねらい】 コミュニケーション発展
 人間関係からくるストレスは、主にコミュニケーションのあり様から生まれてくる。攻撃的や受身的なコミュニケーションのあり様が、ストレスを与えたり受けたりするということに気づく。さらに、「相手の気持ちや状態を想像しながら、自分の気持ちを主張する」アサーションについて学び、気づきを深めていく。


【概要】
 教員二人、または数名で行うモデリングから始まる。攻撃的、受身的、アサーションの三つのコミュニケーションの姿を提示する。教員のモデリングを見て、子どもたちの台本づくり、発表というところで完結する。1時間の授業を少し超えてしまうかもしれない。教室でやる場合でも副担任の協力は不可欠である。余裕があれば、教員数名で多人数劇に取り組み、学年集会形式で1時間、子どもたちの台本づくり、発表で1時間というように、2時間計画で余裕をもって取り組めば、アサーションはより浸透していく。

【ポイント】
 本来ならアサーションは主体的な人のみ可能な技術なのであるが、攻撃的、受身的な依存的なあり様というものは、自分の依存性を認め受け容れることで、主体的なあり様への道が開かれる。モデリングはその気づきのきっかけとなり、DESC法を通じて実現される。主体的な人間になりたい、アサーションを使ってみたい、という気持ちになることが大切なのである。


【子どもの気づき】
・僕は、友達の言いなりになって、宿題を見せてばっかりいたな〜と思った。
・とてもおもしろかった。ロールプレイがわかりやすかった。
・アサーションの方法なら、自分もきっと納得すると思うから、いいなぁ〜と思いました。
・先生のロールプレイを見ていて、自分にもそういうことがあったな〜と思った。アサーションの方法を知ったから使ってみようかな〜とおもった。
・自分も意見を言えないパターンをしていたな・・・と思う。アサーションをやってみる!


【教員からのコメント】
・子どもたちの反応がすごく良く、モデリングは大いに盛り上がりました。先生として、すごくおいしい仕事だったと思います。子どもたちの中には、「ふだんからアサーションを使ってたんだ。」と感じた子どももいて、自信をもったようです。授業後、女子中心にアサーション熱みたいなものが広がって、男子がそれについてくる、という感じです。とても良かったです。

 
【ひろがり】
 2018年4月27日(金)、大阪府松原市立松原第四中学校三年生において、『アサーションロールプレイング』が取り組まれました。先生方による『気弱王子』です。『気弱王子』というロールプレイングは、受身的な姿(ノンアサーティブ)に焦点をあてた劇です。攻撃的、受身的なコミュニケーションに、見かねたアサーションの神様がアサーションを伝授する・・というものです。子どもたちは食い入るように見ていました。先生方、ごくろうさまでした。これからアサーションロールプレイングの台本づくりと、劇につながっていきます。  写真は松原第四中学校HPより


【参考】
「アサーショントレーニング」 平木典子 日本・精神技術研究所

 アサーションは1970年代にアメリカで生まれました。これをいち早く日本に持ち込んだのが平木典子さんです。この分野では、日本はアメリカに20年の遅れをとっています。発達障害の方たちへの支援などを見れば明らかなことなのですが、とにかくこの成長の時代〔1980年代はじめ頃)にすごいことです。わたくしは、アサーションの学びはじめから時期を置いて何回か読んでいますが、読む度に新しい発見がありました。アサーションの奥の深さと平木典子さんの明快さに驚かされます。この本は旧版なので古本ですが、安価で手に入ります。改訂版も出ていますので、余裕のある方はこちらを・・。

「改訂版 アサーショントレーニング」 平木典子 金子書房


【参考】
「人間力向上の授業」 深美隆司 図書文化社


 わたし自身の書籍で申し訳ありません。平木典子さんをはじめアサーションを紹介する多くの書籍では、人間を三つのタイプに分類しています。「ノン・アサーティブ(受身的)」「アグレッシブ(攻撃的」「アサーティブ」です。わたくしは不登校の子どもへの支援などから、三つのタイプの考え方を二極で考えることにしました。「依存的(受身的&攻撃的)」「主体的(アサーティブ」です。二極にすることによって、方向性が見えてくるのです。つまり成長とは「依存的」から「主体的」になっていくことである、ということなのです。「主体的」にさえ向かっていけば、自ずといじめや不登校など、人間としての難しさを克服することができます。世界観も変わっていくのです。

中学校1学年第8時「アサーションロールプレイング」 コミュニケーション発展(一太郎Version)

 大人を対象にしたある「ひきこもり」の調査の中で、注目すべき点が報告されていました。全体の中で不登校経験者は三分の一に過ぎなかった、ということです。わたしたちは、「ひきこもり」といえば子どもの頃からそういう傾向を持っている、と誤解しがちですが、実はそうではないのです。「ひきこもり」は誰にでも起こりうるということなのです。学校の先生や大人は、「子どもは従順で大人の言うことを『はい!』と素直に聞いてくれる子ども」を「よい子」と感じているのではないでしょうか。もし、その「はい!」と返事をしてくれる子どもが、自分の感情を押し殺して我慢を重ねながら「はい!」と返事をしていたとしたらどうでしょう。自分の感情を否定し続ければ、自分がしたいこと、言いたいこと、なりたいものetcがわからなくなるのです。このような人は小学校、中学校、高校の生活が引き金となった場合は不登校になる可能性があるのですが、大人になって引き金になる事と遭遇すれば、仕事に行けない、人と話せない、家を出ることができない、といういわゆる「鬱」を発症する可能性があります。人間は我慢して否定し、受身的になったぶんだけ、あるいはそれ以上の反動で「攻撃的」になるのです。「キレる」とはそういう現象です。高度情報化社会になってこの傾向はさらに助長されていると言っていいでしょう。自分に正直に、自分の感情を主張するということは、実は、「自分との対話をしっかりと図っている」あらわれなのです。アサーションは「自分の感情を大切にし、相手の気持ちを想像しながら主張する」というきわめて「協調的」な表現方法なのです。自分を押し殺すことが「協調的」であるという間違った考えは、「ひきこもり」を助長するのです。学校の先生は、今だけを見るのではなく、子どもたちが大人になってどういう生き方をしていくのか、というところまで見通していくべきでしょう。
   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
                                     
「アサーションロールプレイング」に関してご質問・コメントをお受けいたします。→ブログリンク