教員や指導者に求められる力    

 
・子どもたちをホールドする力
 ・子どもたちどうしの関係性やルールをつくる力
 ・子どもたちに気づきを引き起こす力
 ・子どもたちの気づきに気づく力
 ・子どもたちへ介入(支援)する力
 ・子どもたちの中で起こったことをとりあげる力
 
・授業でビルドアップされた気づきを大切にする力
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7)授業でビルドアップされた気づきを大切にする
 一つひとつの授業を通じて積み上げられた気づきを、子どもたちに日常的にフィードバックさせるために、掲示物等を使って可視化したり、通信等を使って発信していきます。このことにより、好ましいあり様というものを、子どもたちの中に無意識的に意識化し、規範化させていくことが必要なのです。

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 ふりかえり&シェアリングで授業は終了しますが、ふりかえりシートに書きしるされた子どもたちの気づきは、一つひとつの授業ごとに積みあげられる財産です。もちろん学校ですから、学校のルールやきまりはあるのがあたりまえですが、そんな既存のルールやきまりは子どもたちの中から湧きでたものではなく、子どもたちには「与えられた」ものであるのです。しかし、人間関係学科の授業によって積みあげられた気づきの中からは、好ましいと感じられる規範的なことが多く含まれます。「相手の目を見て話をするって、すごく大切だと感じた。」「アサーションは難しいけど、普段の生活の中で使えるようになりたい!って思った。」等々。ソーシャルスキルに関する部分から、人間関係をつくっていく力に至るまで、トータル的に子どもたちの気づきが拾い上げられ、子どもたちの内側からの規範醸成という形で出来上がってくるのす。自己肯定感や自己効力感と呼ばれているものは、人間の内側から育ってきます。つまり、小さな心が大きな心へと育っていくプロセスであると言うことができます。実は、このプロセスが、気づきを積みあげていくことによって実現されていくのです。
 教員は往々にして、子どもを操作するためのアイテムを使いたがる傾向があります。つまり、学習した、あるいは確認した事柄を、子どもの「指導」に使ってみたいという性のようなものを持っているのです。ですから、子どもどうしの中でトラブルがあったりすると、「人間関係学科で何を学んできたんだ!」と叱責してしまうのです。こうなってしまうと、それまで積みあげてきた子どもの気づきによる規範というものが、音をたてて崩れていくのです。もっとも、そんなあり様の教員のもとでは、なかなか子どもどうしの中での規範化はむつかしいのですが・・・。
 このようにして、子どもたちの中でできあがってきた規範というものは、子どもどうしの関係性を強め、お互いの相互批判により切磋琢磨し、取組への相乗効果を発揮していきます。もちろん、不登校への道を進んでいる仲間には、適切な言葉かけや支援を行い、いじめなどが起こりそうになれば、当事者に適切なフィードバックを還して、いじめの進行を抑制します。かりに、自分たちの手に負えないと判断したときには、教員や指導者に対して助けを求めてきます。自分や自分たちの周辺で起こっていることに対して、人の責任にしてしまったり、傍観者としてあらわれるのではなく、自分の問題として責任をもった行動をとろうとするのです。そして、自分や仲間の将来をも考え、自分の生き方と生き甲斐というものを統一して考えることができる人へと成長していきます。まさに、人間関係学科での学びの醍醐味はここにあると言っていいでしょう。教員や指導者に、特に、きわだった特技を必要としません。また、教員や指導者はスーパースターでなくてもいいのです。自分自身の成長のプロセスを、子どもの成長のプロセスとリンクさせ、子どもに対して適切な支援ができればいいのです。

 最後の「教員の資質」の項目でもう少し深めていきましょう。

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