産経ニュースより
2010.8.2 20:44 【なぜ虐待死は防げないのか】 「児相に任せず警察も介入を」 専門家、大阪2児遺棄受け 大阪の2幼児虐待死事件では、母親が室内のドアに粘着テープを張ったり「ホストと遊ぶため外出するとき閉じ込めた」と供述するなど、通常の「ネグレクト(育児放棄)」をはるかに超える状況が明らかになってきている。こうした親とどう向き合えばいいのか。 「父親に責任はないのか」「一刻も早く立ち入りを」 大阪2児遺棄に読者の声大阪の2幼児虐待死事件に関して、読者からたくさんの意見が届いている。 2歳児の母という岐阜県の女性(41)は《児童相談所の職員が外から様子をうかがって帰ったというが、外からで様子が分かるはずがない。一番近くにいて様子をよく知る周りの住人が通報しているのだから、外からでなく実際に目で見て確認するところまでどうしてできないのか。不思議でなりません》。 埼玉県の女性(32)は《納得いかないのは児童相談所が3回の通報で家庭訪問していたにもかかわらず、連絡が取れないとの理由で警察へ連絡しなかったことだ。警察がもっと踏み込めるよう法改正を求めます。強制介入には子供の名前と生年月日が必要だというが、あまりに無意味な条件は権利そのものを無意味にします》とつづった。 オーストラリア在住の2児の母(45)は《豪では虐待通報で警察が飛んでくるし子供はすぐ親から引き離され安全な場所に隔離される。保育園でアジア人の乳児の尻に蒙古(もうこ)斑があったのを虐待と勘違いして通報した話もよく聞く。また、今回の事件では離婚した子供の父親に責任はないのだろうか。豪では親権を取らなかった親にも権利と義務がある。金銭だけでない養育の義務がある》と問いかけた。 山形県の女性(61)は《「連絡をください」とメモを残して立ち去っても母親は連絡するわけがない状態なのです。他人に見せられない、見せた後がどうなるか怖いと思っている人が連絡するわけがない。やはり一刻も早く強制立ち入り調査をし、親も子も助けなくてはいけない。親が罪を犯す前にさまざまな援助があることを指導するためにも、強制立ち入りしてください》と訴えた。 福祉の「支援」に近づかない母親たち 大阪2児遺棄2010.8.11 01:42
母親が殺人容疑で再逮捕された大阪市の2児虐待死事件。市は10日、大阪府警に対し市こども相談センター(児童相談所)へ警察官の配置を要請するなど、虐待対応の立て直しを模索し始めた。事件からどんな課題が浮かんだのか。 「福祉」に限界 警察庁幹部は「関係者一人一人が子供を必死で救おうとする姿勢が問われている」と話す。 風俗の仕事つらく気持ち分かるけど… 歌舞伎町託児所ルポ2010.8.13 22:28
大阪で2人の幼児が遺棄された事件が発覚してから2週間余り。今月10日に殺人容疑で再逮捕された下村早苗容疑者(23)はミナミの風俗店で働いていた際、託児所に2人を預けずホストらと遊び歩いていたという。「夜の街」で働くシングルマザーの多くが託児所を利用し、子育てと仕事を両立しようとしている一方、なぜ託児所にさえ子供を預けない母親がいるのか。国内最大の歓楽街、東京・新宿の歌舞伎町にある託児所を訪ねた。 子供の命救え 広がる「110番」 泣き声や異常の通報が急増2010.8.17 20:02
虐待を見たり聞いたりした人が110番通報するケースが相次いでいる。大阪市西区のマンションで2児が死亡した遺棄事件では、近所の人が子供の泣き声や異常に気づいていながら防げなかった。警察関係者は「ためらわず通報して。幼い命を救える」と提言する。
16日午後8時15分ごろ、神奈川県警に1本の110番通報があった。 「子供があまりにひどい泣き方をしている。児童虐待ではないか」 高津署員が川崎市高津区の無職女性(38)のアパートに駆け付けると、女性の子供で小学1年の双子の男児(6)が手と体、両足首をそれぞれプラスチック製バンドで縛られていた。 そばにいた女性の交際相手の男が縛ったことを認めたため、暴行の疑いで現行犯逮捕。男は土木作業員のK容疑者(42)=静岡県三島市=で「食事中にふざけて言うことを聞かないので、しつけのつもりでやった」と話している。通報したのは近所の住民だった。 また、15日には秋田県警大仙署が長男(3)を殴ってけがをさせたとして、傷害の疑いで無職、会沢祐美子容疑者(29)を逮捕。きっかけは「車の中で子供が殴られている」との110番通報だった。 厚生労働省虐待防止対策室によると、相次ぐ虐待事件が大きく取り上げられて以来、「児童相談所への相談件数も増えているようだ」という。「虐待が疑われるような事例を見たり聞いたりしたときは、迷わず児童相談所全国共通ダイヤル((電)0570・064・000)に電話してほしい」と話す。 元群馬県警生活安全部長「ためらわないで」 児童虐待防止法は虐待通告(通報)を国民の義務と規定し、通告先を児童相談所や市区町村としている。 警察は法律上の通告先ではないが、元群馬県警生活安全部長の佐藤隆夫さん(66)は「110番へ通報しても、警察で緊急と判断すればすぐ対応するし、そうでない場合は児童相談所へ通告する。最終的には児童相談所へいくため、児童相談所の電話番号が分からないときなど、ためらわず110番してほしい。結果的に間違いであっても幼い命を救えるチャンスが増えたほうがいい」と話す。 その上で、「同じことは年1、2件しかない児童相談所の強制立ち入り調査にもいえる。必要性、妥当性を備えていれば正当な職務執行であり、間違っていても人権侵害にならない。無断立ち入りでも、刑法の正当行為や緊急避難に該当するだろう。『人権侵害』というのは、ささいな権利侵害を言い訳にした自己保身にすぎない。担当者がためらい、与えられた職務権限を行使しなければ児童虐待をなくすことはできない」と指摘する。 |